UT MESC株式会社
根本 雅己
PROFILE
映像制作の仕事を経て、2011年、33歳のときにUT MESC株式会社に中途入社し、エレベーターの部門に配属となる。経験のないプログラミングのスキルを独学で磨きながら、かご内液晶インジケーターの制御、点検時の通信アプリ開発などを手がけている。
エレベーターに欠かせない制御を担う。
映像関係の仕事で食べていきたいという思いから、大学を卒業後、アニメ制作の進行管理、衛星放送の番組制作、アミューズメント製品の液晶映像と、3つの会社を経験しました。その3社目が、2008年のリーマンショック以来どんどん業績が落ち込み、2年後に倒産してしまったのです。
いろんな経験を積ませてもらったことには、感謝の気持ちしかありません。ただ、家族との生活を考えると、小さな会社を渡り歩くのではなく、経営基盤のしっかりした会社で腰を据えて働くべきでないか——。神奈川の部屋を引き払い、父親の地元であるひたちなか市に引っ越しました。いまの会社に入ったのは、叔父の紹介がきっかけです。
担当しているのは、エレベーターかご内の液晶インジケーターの制御です。表示自体はユニバーサルな分かりやすさが第一なので、凝ったものではありません。ではどこに力を注ぐかというと、目に見えないパネルの裏側です。エレベーターの状態をしっかりモニタリングして、プログラム制御で判定する。とくに火災や地震の際には生命に関わるものですから、非常事態の警告などはしっかり表示されなければなりません。
その後、メンテナンス用の通信アプリも開発しました。エレベーターには定期的な法令点検が義務づけられていますが、利用者に不便をかけないよう、短時間での的確な作業が求められます。点検がスムースに進められるように、通信端末の操作画面などを工夫し、作業者がわかりやすく操作しやすい通信端末の画面やボタンをつくることを心がけています。
「パパはいつも楽しそう!」の先に。
この仕事にはプログラミングの知識が必要とされますが、じつは入社した当時は知識も経験もありませんでした。なのでまずは独学で一から勉強し、基本情報技術者の資格を取得しました。その後もつねに新しいことを覚えながら、いっぱいいっぱいでどうにか走ってきたというのが正直なところです。
映像制作時代にシステムエンジニア的な立場でプログラマーとやりとりしていたこと、画像の効果的な見せ方を知っていたことなど、これまでの経験が、なんらかの形で新しい仕事にも生きてきたから、10年続けてこられたのだと思います。中でも、お客さまが求めているものをどうつくればいいのか。それこそが大切だというのは、前職もいまも変わりありません。
その姿勢で仕事に向き合っていくためにも、ベースとなる知識を更新し続けることが不可欠です。学校の勉強だけで社会に出てずっと通用した時代とは違い、いまは変化のスピードに合わせて学び続けなければいけません。でも、私自身まったく苦には感じませんし、3人の子供たちにもこう言われます。
「パパ、なんだかいつも楽しそうだね」
学ぶことで仕事がどんどん楽しくなり、周りの人たちや社会を幸せにできる……。そういう背中を子供たちに見せられているのかもしれません。数学の得意な真ん中の息子は、私の将来の楽しみをひとつ増やしてくれました。
「パパの仕事が面白そうだから、将来はSEになりたい!」